至福の読書・魅惑の世界旅行

読書の海・世界の空  海外添乗歴30年  元添乗員の読書&海外旅行案内

魅惑の世界旅行 アンソロジー

・旅というものは縁の糸によって導かれて行かれる

  東山魁夷

 ・人は旅をする 人は旅をして ついにわが家へ戻る 人は生きる 人は生きて ついには大地へ戻る

  イギリスの諺

・旅行によって若者を育てる

  フランスの諺

・旅とは原点に返ること

  チベットの諺

・どんなに長い旅路も最初の一歩から始まる

  中国の諺

 ・いま信じられないような偶然のおかげで、僕にはいまわかった。僕は旅をする運命にあるのだ、と。

  チェ・ゲバラ

・俺は旅をして、俺の脳に寄せ集められた呪縛を振り払わねばならなかった。

  A.ランボー

・旅はわたくしにとって精神の若返りの泉である  先へ!もっと先へ行こう!旅だけが元気をつけ、悲しみを追いはらってくれる。

  アンデルセン

・誰でも旅行をするについては、何を見るべきか、何が自分に大切か、を知っていなければならない。

  「ゲーテとの対話」

・矢も楯も堪まらないほど、外国を旅行したい欲望に駆られた時代がひと頃あった。日常親しいものがなにもかも一年中私をいらいらさせたものだった。もし脱出の機会をついに失し、魂の底から恋い憧れていた風景を見ることができなかったなら、おそらく私は悶死していたかもしれない。

  「ヘンリ・ライフロフトの私記」

 

 ・スーツケースの旅の支度をつめこむときのおもいは、誰でも、新しい期待にふくれているでしょう。いえ、そうばかりでもありません。

…旅はいつもたのしいとはきまっていません。生きている日々が、常に昨日への告別と考えるとき、人生はそれじしんを一つの旅とみることができます。

…一晩寝ると翌日、パリへついているような贅沢な空の旅では、第一に距離感がなく、旅につきもののノスタルジアが発生する間暇もないといったわけです。

…こころをいやすために人は、すぐ旅を考えます。自分を追いつめていた環境をはなれて、客観的にじぶんをながめる余裕をとり戻すために、旅の淋しさと、孤独ほど効果のあるものはありますまい。

…旅だけが僕らの歪み、にごった生活を新しいものにする奇蹟を知っているようです。

…だが、旅は、立ち去るその瞬間だけがいのちで、世界中、どこへ行ってみたって、ほんとうに住みよいところはない。せめて、心のなかにある遠いふるさとくらいなものでしょう。

  金子光晴

 

 ・旅はどんなに私に生々としたもの、新しいもの、自由なもの、まことなものを与えたであろうか。旅に出さえすると、私はいつも本当の私となった。

  田山花袋

・旅におしえられたのは、瞬間という、取り返しのつかない時間のもつ意味です。ひとの人生の時間は、無辺の風景のなかの、本当は、人生の瞬間のことなのだと。

旅は到着することとはちがう。旅は、旅をしているという感覚のよろこびなのだ。

旅というのは終わってからが…旅から持ちかえってきた経験が肝心なんだ。

  長田弘

 

 ・<西江雅之流・旅の極意>

   当たり前の世界に勘をとぎすませること。

 夢と現実を区別でせずに、夢を語ること。

 最良の学習法とは、他人に教えること。 

 他人は宝。

 出発は小さな包みをつかみ、体を持ち上げ、歩き出すこと。

 名前だけから推測して食べ物を注文することは、ハズレが多い。

 自分は一つの生き物にすぎない。

 馬鹿同然ことに、馬鹿げた努力でかかわってみること。

 獣や鳥や虫のように“今を生きる”

・不規則に波立ちながら刻々と表情を変えている起伏、それが世界だ。その表面には、もともと仕切りなどついてはいないし、地の果てなどという境界線も存在しない。無限に連続するノッペラボウである。…考えてみれば“場所”というのは土や石ころで出来た物としての地面なのではなくて、自分の中に置き去りにされている時間や空間の破片のことなのではないかと、思い当たる。…旅人は帰るべきところを持っている

  西江雅之著「旅人からの便り」あとがき

・…そんな時、わたしは自分が旅に出ているのだと、、フッと感じて身が引き締る。自分の中の生と死が一瞬、同時に体内をかすめていくのである 

  西江雅之著「旅は風まかせ」あとがき

・時々、どこかで何かが自分を呼ぶ。よく聞いてみれば、それは自分自身の声である。その声に急き立てられ、その誘いにのって、よく旅に出たものだ。…旅への憧れ。それは我に返れという自分自身の叫び声なのではないだろうか 

  西江雅之「東京のらくだ」あとがき

・”旅”は、何よりも、”道中”が主役である。古典文学を見ても、旅の話を支えているのは、目的地に至るまでの道中で出くわすことになる数々の予期せぬ出来事だ。…”旅行”の場合は、目的地までの行程は保証されている。…”ツアー”では、出発点と目的地との往復が予め保障されている。…昔「人生は旅である」と言った。しかし、現代の日本人の人生は、ツアーに似ているとも思えてくる。

  西江雅之著「異郷日記」

 

 ・月日は百代の過客にして、生きかふ年も又旅人也

  松尾芭蕉(5月16日は旅の日 松尾芭蕉奥の細道への一歩を踏み出した日)

 

・幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく

  若山牧水

 ・空の旅の場合、ジェット機が離陸する瞬間に味わう開放感は格別です。…大きな深呼吸をし、肩の力を抜き、満たされた気持ちになります。

  ドミニック・ローホー                                                                            

・すべて私たちの探求の終わりは出発の地に辿り着くこと そしてその地を初めて知るのだ。

  T.S.エリオット

 

・旅は歩みおわった所から始めねばならぬ。

…そうしなければならないのなら、それで良いのだ。信ずることができなければ耐えれば良いのだ。…何ものにもより掛ろうとしないことが、やはり出発の標べであるとすれば、淡い雪の中に足を取られて歩くのが旅人の感傷だ。…私の心を満たすものは常に私を振返らぬものだった。

  安部公房

…生まれて初めて体験する長い一人旅だった。一人で知らない土地を旅していると、ただ呼吸をし、風景を眺めているだけで、自分が少しずつ大人になっていくような気がしたものだ。

…何度か行ったことのある場所だって、行くたびに「へえ、こんなものがあったんだ!」という驚きが必ずあります。それが旅行というものです。旅っていいものです。疲れることも、がっかりすることもあるけれど、そこにか必ず何かがあります。さあ、あなたも腰をあげてどこかに出かけて下さい。

  村上春樹

 

『夏の爽やかな夕、ほそ草をふみしだき、

ちくちくと穂麦の先で手をつつかれ、小路をゆこう。

夢みがちに踏む足の、一あしごとの新鮮さ。

帽子はなし。ふく風に髪をなぶらせて。

 話もしない。ものも考えない。だが、

僕のこのこころの底から、汲めどもつきないものが湧きあがる。

さあ ゆこう どこまでも ボヘミアンのように

自然とつれ立って、―恋人づれのように胸をはずませ…』

  A.ランボー