至福の読書・魅惑の世界旅行

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ニュージーランド「マンスフィールド短編集」

「人生は厭わしきもの 涙ー溜息 愛は移ろいゆくもの 人生は厭わしきもの そして…さようなら」

「ああ、人生よ、私を受け入れてほしい。-私を価値あるものとして欲しいー教えて欲しい。私は書いた。顔を上げた。庭の木の葉がざわめく。空は薄く青く、私は泣く。難しいことだ。良い死を迎えることは難しいことだ」 著者の日記より

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 結核により34才という若さで他界した19世紀の女流作家、ニュージーランドの首都ウェリントン出身でその生家が記念館として残っている。学生時代にロンドンに居を移し主な執筆はヨーロッパでなされたが、著作のところどころには故郷であるニュージーランドの面影が垣間見れる。

「玄関前には一握りほどの芝地があって、真ん中にはマヌカの木が立っていた。その木の下のデッキチェアにすわって、…ぼんやりと朝の時間を過ごしていた。…暗く密に茂ったマヌカの木の、乾いた葉…をただ漠然と見ていた」

 ニュージーランド原産の常緑低木、現地でティ―ツリーとも呼ばれるマヌカの木は、近年はマヌカハニ―、ハチミツで世界的に有名になった。現地ガイド氏曰く、有名になるにつれ生産量を上回る量が流通しているとの事だ。残念ながら事実だろう。マヌカハニーは効能の度合いが数字でランク付け表記されているが、本物であれば最も弱いものでも十分効能があるそうだ。自分は逆流性食道炎気味で胸やけのような症状があったが、試しにマヌカハニ―を毎朝起きぬけにティスプーン1杯、瓶が空になる頃には気が付くと症状が治まっていた。(他にもローズヒップオイル等 南半球は紫外線が強いせいか抗酸化作用の高い植物が多い気がする)

 さて、この短編集に収められた「ガーデン・パーティ」は、少女から大人の世界に一歩足を踏み入れたその瞬間を鮮やかに切り取ってみせた名作だ。少女の心の機微が手に取るように瑞々しく語りかけてくる。

    <ファンタジーの国>

 ニュージーランドは個人的に好きな国の一つである。日本人向けの国だとも思う。その理由として

① 時差がきつくない。ハワイのように昼夜逆転するようなことがない。日本から直行便も就航している。

② 日本同様水道水が飲めるし、基本チップの習慣もない。

③ 治安もすこぶる良くスペインやイタリア等のように終始荷物に神経を張りつめる必要がない。

④ 日本と同じ島国で食材が豊富、食事が美味しい。酪農が盛んなのでビーフやラムはもちろんのこと、クレイフィッシュやカキ等のシーフードも豊富、更にブティック・ワイナリーと呼ばれる小規模かつ堅実なワイン農家が多く、良質のワインも生産している。

 更にニュージーランド人は遊びの天才とも言われ、バンジージャンプやジェットボート発祥の地、様々なアクティビティが楽しめる。

 近年はラストサムライはじめロード オブ ザ リング、ホビットナルニア国物語等映画のロケ地ビジネスも伸びている。とりわけ南島の田舎の景色は、映画さながらファンタジーな印象が強い。あの映画で観たあの景色を自分の目で確かめたい方に是非ともオススメしたい国。