至福の読書・魅惑の世界旅行

読書の海・世界の空  海外添乗歴30年  元添乗員の読書&海外旅行案内

2022-01-01から1年間の記事一覧

ポーランド「灰とダイアモンド」アンジェイェフスキ

・人間、生きているかぎり、なすべきことをやなねばならん。これが重要なことだ! ・ある人々の利益は、いつもだれか他の人びとの苦しみを代償として得られるというのが、当時のならわしだった。富は窮乏と迫害の上に増大し、生活そのものまでもが風向きしだ…

アウシュビッツ 「アウシュビッツの図書係」アントニオ・G・イトゥルベ

・勇気がある人間と恐れを知らない人間は違う。恐れを知らない人間は軽率だ。結果を考えず危険に飛び込む。…僕が必要とするのは、震えても一歩も引かない人間だ。何を危険にさらしているか自覚しながら、それでも前に進む人間だ。 ・地図帳のページをめくっ…

アイルランド「ケルト人の夢」マリオ・バルガス・リョサ

・それは彼の最後の情熱、最も激しく、揺るぎない情熱、彼を憔悴させた情熱、そして彼を死に至らしめるであろう情熱だった。『泣き言は言わないぞ』と彼は繰り返し自分に言い聞かせた。何世紀にも及ぶ抑圧が、アイルランドにあまりにも多くの苦しみと不正を…

ギリシャ 「遠い太鼓」 村上春樹

・そう、ある日突然、僕はどうしても長い旅に出たくなったのだ。…ある朝目が覚めて、ふと耳を澄ませると、何処か遠くから太鼓の音が聞こえてきた。ずっと遠くの場所から、ずっと遠くの時間から、その太鼓の音は響いてきた。とても微かに。そしてその音を聞い…

日本「土を喰う日々 ~ わが精進十二ヶ月」水上勉

・何ものにも、執着していてはならぬ。…物によって心をかえ、人によってことばを改めるのは、道心ある者のすることではない。 ・ただ、黙って、無心につくれば、よろしい。…食事は喰うものであって、理屈や知識の場ではない。 ・禅宗の僧たちはうまいことを…

世界一周 「八十日間世界一周」ヴェルヌ

・今回の旅でいちばん難しいのは中国と日本で、そいつが終わってしまったんですからね。あとはもうアメリカまで行けば、ヨーロッパみたいなものです。たいしたことはありません。 ・鉄道は文明と進歩の象徴であり、網の目のように荒野に広がって、これから建…

イスタンブール「オリエント急行の殺人」アガサ・クリスティ

・現代でこそオリエント急行の旅は優雅なものですが、1930年代にロンドンからイスタンブール、さらにその先に列車で向かうことは現在とは比べものにならない危険を伴う冒険でありました。フランスから、イタリア、トリエステを経由して、バルカン諸国、ユー…

スイスアルプス「アルプスの少女ハイジ」ヨハンナ・シュピリ

現し世の 姿うすらぎ 暗闇に 閉ざされゆけば 魂は いよいよ明るく さまよいし 旅路の果てに 故郷を 見いずるならん ・やがて五月になりました。新鮮な春の流れが山の上から谷間へと注いでいました。暖い日光は山の上に輝き、あたり一面は緑色になって、残り…

パリ「オペラ座の怪人」ガストン・ルルー

・…読者諸氏には、こう申し上げておこう。いつかオペラ座を訪れたなら、つまらないガイドなどつけずにゆっくり見てまわったほうがいいと。五番ボックス席に入って、前桟敷との境にある太い円柱を叩いてみたまえ。ステッキを使っても、拳でもいい。すると頭の…

レマン湖・スイス「チャップリン自伝」

・運命の女神たちが人間のそれを決定するとき、そこには憐憫もなければ公平感もない。 ・…母はわたしよりも冷静だった。「イエスさまはね、おまえがまず生きて、この世の運命を全うすることをお望みなのだよ」と、説いて聞かせた。その夜、母は…生れてはじめ…

ケニア「キリマンジャロの雪」ヘミングウェイ

そこには視界のすべてを覆って、世界と同じほど広く、高く、巨大で、陽光を集めて無窮の白さを放つものがあった。 キリマンジャロの頂きだった。 その時かれは自分が向かっているのがそこであることを知った。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 代表作「老人と海」の数分の一程度の…

ウィーン「第三の男」グレアム・グリーン

・悪というものはピーター・パンのようなものだー永遠の青春という、身の毛のよだつような、いやな天性を備えているのだ。 ・素人はプロにまさるもう一つの利点がある。素人は無鉄砲なことができる。 ・人間性というものは奇妙なもので、心とはまったく無関…